事の発端は、僕の自転車が昨年2台同時パクられた事にはじまる。
僕はこの一件以降、僕は、僕の住む町(茨城県の阿見町というところの事だが)の事を、悪魔の住む町、と呼んでいる。
いい自転車と言うのは上を見れば金額としてはいくらでもあるものだから、いい自転車、というには微妙な値段かもしれないが、7,8万くらいのTREKという自転車にメインで乗っていた。乗っていたと言えばバンバン乗っていたのかと思うかもしれないが、まぁ、カスミ(茨城のスーパー)に行ったりイオン(茨城における最上位レジャー施設)に行ったりするくらいで、いわゆるサイクリストの類ではない。
歩くより速くね? くらいの気持ちで乗っているし、自転車に乗って最高な気持ちになったり、ケイデンスが! とかそういうのではない。
ただ、22の時に勤務地の塾に通うためにちょっといい自転車を買おう、と思ってそのTREKのクロスバイクに買い、乗って帰ろう、と思ってペダルを漕いだ時、今まで乗っていた自転車はニセモノだったのだ,僕は翼を授かったのだ、と言う気持ちになったのは今でもはっきり覚えている。
そんな感動的な自転車を。
その自転車を盗むような人間がいるこの町はやはり悪魔の住む町である。霞ヶ浦湖畔の、一見穏やかな羊の皮を被った狼の町である。
翼を失ってからは、20代の頃に見た憧憬である自転車日本一周とか縦断、とかそう言うのが今までよりもちらつくようになった(僕はハチミツとクローバーが好き)職場環境的に超長期の休みはとれないので、考えるだけだったが、夏におよそ10日ほどの休みが取れそうなので決行することに決めた。
何を、というのは、自転車の購入である。遠くで購入して乗って帰ろう、10日かけて帰ろう、と思った。
どこか遠くで自転車を購入して、そのまま乗って帰ってくれば、結果ロングライドになるじゃん! と言う一休さんもびっくりの論理である。
輪行(自転車を電車とかに乗せる事)とかすればいいだろ! とお思いの方もいるかもしれないが、別にそれでも良かった。袋づめとかチケットとったりとか混んでたりしたらめんどうくさいな、と思っただけである。めんどうくさいことは嫌いで、例えば右折とかは嫌いだ。
と、いうわけで我が悪魔の住む町からの距離を算出すると、京都が500km、札幌が1000kmくらいだ。だいたい。
1日100km進めば10日でぴったりじゃん札幌発にしようかな? と頭によぎったが、津軽海峡こえる事と、1日100km行けるのか?(40kmくらいしかこいだことがない)ということ。さらに、初日はいいけど、2日目は?という陸上をやっているN先生のさりげないご忠告を受けて札幌はやめた。確かに次の日に走れる状態なのか、というのは的を射た意見である。僕は基本的に運動をして暮らしていない。
あと。はっきり言いたいことがあるのだが、坂を登りたくない。上り坂が好きな人はどMか何かであると僕は認識していて、なんだったら僕はすべて下りたい。山の頂上に自転車屋があったらそこで買う。
下りでなくても、せめてなるべく平地走りたい、という気持ちからやはり京都で購入することとする。
京都で購入して、そこから500km。
悪魔の住む町(茨城県)まで帰ってこよう、と言うのがこの計画の概要である。
10日あるし、1日100km走って1日休んでもつくっじゃ~ん! と考えており、また、海沿いの町を走ることになるので、しんどくなったら新幹線のって帰ろ。と思っている。
と、いうわけで京都である。

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